国産レプリカジーンズの歴史を語るうえで、欠かすことのできないブランドの一つがDENIME(ドゥニーム)です。
なかでもオリゾンティ期に製造された旧ドゥニームは、現在でも中古市場で人気のあるジーンズとして知られています。
今回、オリゾンティ期の旧ドゥニームが3本揃いました。
1本は以前から所有している、色落ちの進んだW30。もう1本はインディゴがかなり濃く残っているW29。そして3本目は、股部分にリベットが取り付けられたW30です。
一見すると似たようなジーンズですが、実際に並べて細部を観察すると、意外な違いが見えてきます。
特に気になったのが、股リベットの有無とバックポケット周辺の仕様です。
また、色落ちの進んだ2本と濃紺の1本を比較することで、旧ドゥニームの生地が持つ魅力も改めて感じられました。
今回は所有する3本の実物写真を使い、色落ち、シルエット、ボタン、レザーパッチ、股リベット、バックポケットなどを比較します。
なお、3本の正確なモデル名や製造年は現時点では確定していません。実物から確認できる事実を中心に紹介します。

旧ドゥニームとは?オリゾンティ期の特徴
DENIMEは1988年に誕生した日本のデニムブランドです。
ヴィンテージジーンズの生地や縫製、シルエット、色落ちなどを研究し、アメリカの古いジーンズを日本の技術で再現するレプリカジーンズブランドとして知られるようになりました。
日本のレプリカデニム文化が発展していくなかで、ドゥニームは重要な役割を果たしたブランドの一つです。
長い歴史のなかでブランドの運営体制は変化しており、一般に1988年の創業から2005年頃までをオリゾンティ期と呼ぶことがあります。
その後、シンズ期、ウィゴー期など、異なる時期の製品が存在します。
ただし、オリゾンティ期といっても十数年にわたる長い期間です。
製造時期やモデルによって生地、タグ、縫製などが変化している可能性があるため、「オリゾンティ期だからすべて同じ仕様」とは考えない方がよいでしょう。
旧ドゥニームの年代の見分け方や、タグの特徴については別の記事で詳しく紹介しています。
関連記事: 旧ドゥニームの年代の見分け方|オリゾンティ期の特徴と色落ち
この記事ではブランド全体の歴史よりも、実際に所有する3本の違いに注目していきます。
今回比較する旧ドゥニーム3本
今回の比較対象は、いずれもオリゾンティ期のものとして確認している旧ドゥニームです。
それぞれの特徴を整理すると次のようになります。
| 個体 | サイズ | 色落ち | 股リベット |
|---|---|---|---|
| A:以前から所有する個体 | W30 | 色落ちあり | なし |
| B:濃紺個体 | W29 | 非常に少ない | なし |
| C:股リベット付き個体 | W30 | 色落ちあり | あり |
最初に気付くのは、やはりインディゴの色の違いです。
BのW29はかなり濃い状態を保っていますが、AとCは太ももを中心に色落ちが進んでいます。
しかし、単に色が違うだけではありません。
バックポケットのタブや股部分の補強方法など、実物の構造にも違いがあります。
こうした仕様を一つずつ確認することで、同じブランドのジーンズでも多様な作りが存在することが分かります。
濃紺W29|色落ち前の生地を観察する
まず紹介するのは、新しく入手したW29です。

キャプション:オリゾンティ期の旧ドゥニームW29。かなり濃いインディゴが残った個体。
この個体は、今回の3本のなかで最も色が濃く残っています。
太ももから膝、裾にかけて濃いインディゴが広がり、部分的にうっすらと着用によるシワが見られる程度です。
濃紺デニムは、生地本来の表情を観察しやすいところが魅力です。
強く色落ちしたジーンズでは、摩擦によって白い糸が目立ちますが、このW29ではインディゴの濃さが全体の印象を支配しています。
近くで見ると、生地表面の綾織りや糸の凹凸も確認できます。
今後さらに穿き込めば、色落ちの変化が楽しめそうな個体です。
ただし、実際の着用歴や洗濯回数は不明なので、未使用品や未洗いのリジッドデニムというわけではありません。
W29のバックスタイル

背面を見ると、大きなDnmロゴのレザーパッチと左右のバックポケットが目を引きます。
バックポケットには横方向の飾りステッチが入り、ポケット上部には補強のステッチが施されています。
この個体で注目したいのが、バックポケットのブランドタブです。
今回確認したW29では、股リベット付きW30に見られる黒いDnmタブと同じものが、ポケットの縁には確認できませんでした。
この違いがモデルの違いによるものなのか、製造時期の仕様変更なのかは、現段階では判断できません。
しかし、複数の個体を比較するうえで重要な観察ポイントになります。
色落ちしたW30|旧ドゥニームの経年変化
次に紹介するのは、以前から所有しているW30です。
こちらはすでに色落ちが進んでおり、濃紺のW29とは違った雰囲気を持っています。

旧ドゥニームの魅力の一つが、生地の色落ちです。
この個体では、太もも周辺に縦方向の細かな濃淡が現れています。
一般に「縦落ち」と呼ばれる表情で、国産レプリカジーンズを好む人が注目するポイントの一つです。
また、股周辺には着用によるシワに沿った色落ちも確認できます。
こうした横方向の色落ちは「ヒゲ」と呼ばれ、ジーンズの経年変化を象徴するディテールとして知られています。
濃紺W29と比較して分かること
濃紺のW29と色落ちしたW30を並べると、色の違いがよく分かります。

キャプション:濃紺個体と色落ち個体の太ももを比較。インディゴの濃淡や縦落ちの違いが分かる。
濃紺個体は全体に暗いブルーが残っていますが、色落ちした個体は摩擦が加わりやすい部分で明るい色が現れています。
特に太ももの中央付近は、着用による摩耗やシワの影響を受けやすい部分です。
また、デニムは洗濯によってインディゴが少しずつ落ちていきます。
ただし、今回の2本が完全に同じ生地・同じモデルであると確定できているわけではありません。
そのため、濃紺W29が穿き込まれると必ず既存W30と同じ色落ちになる、という意味ではありません。
あくまで、旧ドゥニームの異なる個体で観察できる色落ちの違いとして比較しています。
股リベット付きW30|今回の比較で最も注目した個体
今回、新たに入手した3本目のW30には、ほかの2本にはない特徴があります。
それが、股部分のリベットです。

キャプション:股リベットを備えた旧ドゥニームW30。濃淡のあるインディゴと自然なアタリが特徴。
フロントはDnm刻印入りのボタンフライ仕様。
その下部、股の縫い合わせ部分に金属製リベットが取り付けられています。
このリベットは「クロッチリベット」と呼ばれるディテールです。
ヴィンテージジーンズでは、股部分の縫製を補強する目的でリベットが採用されていた時代がありました。
のちに一般的なジーンズからは姿を消しますが、ヴィンテージレプリカでは古い仕様を再現するために採用されることがあります。
今回の旧ドゥニームでは、この股リベットがある個体とない個体を比較できました。
股リベットの有無を3本で比較

キャプション:旧ドゥニーム3本の股部分を比較。左には股リベットがあり、中央と右には同じ位置にリベットが見られない。
今回の比較で、特に注目してほしい写真です。
左の個体には金属製の股リベットが取り付けられています。
一方、中央と右の個体には、同じ位置にリベットが確認できません。
3本を同じ画面に並べることで、仕様の違いが明確になりました。
単独の写真だけでは見落としやすい細部も、複数の個体を比較すると分かりやすくなります。
股リベットがあればXXモデルなのか?
ここで気になるのが、股リベットの有無とモデルの関係です。
DENIMEには、ヴィンテージの501XXをイメージしたXXモデルや、1960年代後半以降のジーンズを意識した66モデルなどがあります。
ヴィンテージジーンズでは、時代によって股リベットの有無が異なるため、モデルを判断する手がかりになる場合があります。
しかし、今回の旧ドゥニームも同じ基準で単純に分類できるとは限りません。
股リベット付きだからXXモデル、股リベットがないから66モデルと断定するのは避けたいところです。
製造時期やモデル独自の仕様など、ほかの情報も合わせて確認する必要があります。
今回の3本では股リベットの有無が異なることまでは確認できましたが、それが正確にどのモデルの違いを意味するのかは、今後も調べたいと思います。
Dnmレザーパッチを比較
旧ドゥニームの腰部分には、大きなDnmロゴが入ったレザーパッチが取り付けられています。
今回の3本にも、それぞれDnmのパッチが確認できます。

濃紺W29のパッチは、比較的明るいブラウン系の色合いです。
一方、股リベット付きW30では、革の表面にシワや色の変化が見られます。

レザーパッチは、着用や洗濯、保管状況などによって表情が変化します。
同じようなパッチでも、革の色やシワの入り方に違いがあるのは面白いところです。
ただし、革パッチの色だけで製造年代を判断することはできません。
ドゥニームでは後年の製品にも類似したDnmロゴのパッチが使われているため、パッチだけを年代判別の決め手にしないことが重要です。
バックポケットとDnmタブの違い
今回の3本を比較して、もう一つ興味深かったのがバックポケット周辺の仕様です。
特に股リベット付きW30には、黒いDnmタブが取り付けられています。

股リベット付きW30の黒タブには、黄色いDnmの文字が入っています。
一方、濃紺W29には同じ位置に黒タブが見られません。
既存のW30も含めて観察すると、バックポケットの形状や補強ステッチにも個体差が見られます。
このような違いは、実物を比較しないと気付きにくい部分です。
ただし、タブの有無も製造年代を確定する証拠とは限りません。
ドゥニームには時期によってさまざまな製品が存在するため、複数のディテールを組み合わせて判断したいところです。
ボタンフライとUNION MADEタグ
今回の旧ドゥニームには、ヴィンテージジーンズらしいボタンフライが採用されています。
金属製ボタンにはDnmのロゴが刻印されています。

ジッパーではなくボタンで開閉する仕様は、ヴィンテージレプリカジーンズでは定番の構造です。
また、ウエスト内側には「UNION MADE Dnm Sanforized」と記されたタグも確認できます。
このタグは、アメリカの古いワークウェアを思わせるデザインです。
SANFORIZEDは一般に防縮加工を意味しますが、タグの表記だけで個体ごとの実際の縮率までは判断できません。
今回の比較では、こうしたタグの位置やデザインも確認できました。
タグは製造時期を推測する手がかりになることがありますが、ほかの情報と合わせて判断することが大切です。
サイズとシルエットの違いを比較
ジーンズを中古で購入するときに重要なのが実寸サイズです。
今回、新しく入手したW29と股リベット付きW30の実寸を比較すると、次のようになります。
| 採寸箇所 | 濃紺W29 | 股リベット付きW30 |
|---|---|---|
| ウエスト平置き | 約35cm | 約37cm |
| 股上 | 約28cm | 約28cm |
| ワタリ幅 | 約29cm | 約29cm |
| 股下 | 約82cm | 約72cm |
| 裾幅 | 約20cm | 約21cm |
※いずれも平置き採寸で、測定方法による多少の誤差があります。
特に注目したいのが、股上とワタリ幅です。
W29とW30というサイズ違いにもかかわらず、今回の2本は股上がともに約28cm、ワタリ幅も約29cmでした。
一方、ウエストは平置きで約2cm異なり、裾幅も約1cm違います。
つまり、単純にすべての寸法が同じ割合で変化しているわけではありません。
ただし、これは個体の実測値であり、当時のメーカー公式サイズ表とは異なります。
モデル、製造時期、洗濯による縮み、着用による伸びなどが影響する可能性があります。
股下の10cm差に注意
W29の股下は約82cm、股リベット付きW30は約72cmでした。
10cmという大きな差があります。
裾上げされた可能性も考えられますが、当初のレングスや裾上げ履歴は未確認のため、この寸法差だけで判断することはできません。
中古の旧ドゥニームを購入するときは、ウエストだけでなく股下の実寸も必ず確認することをおすすめします。
セルビッジと裾の縫製
旧ドゥニームでは、セルビッジデニムが使用されたモデルも多く存在します。
セルビッジとは、生地の端に織り込まれた耳の部分です。

今回の個体でも、裾を折り返した部分からセルビッジを確認できます。
セルビッジには赤耳や白耳などの呼び方がありますが、写真の光の当たり方によって色が分かりにくい場合もあります。
そのため、耳の色だけでモデルや年代を断定することは避けます。
また、裾の縫製やステッチの入り方も比較ポイントです。
裾上げされているかどうか、オリジナルの縫製が残っているかどうかは、中古ジーンズを選ぶ際に確認したいところです。
ただし、今回の写真だけで3本すべての裾上げ履歴を確定することはできません。
3本の色落ちを比較して感じたこと

今回3本を比較して感じたのは、同じオリゾンティ期という分類でも、ジーンズの表情は大きく異なるということです。
濃紺のW29は、生地の濃さとインディゴの深みが魅力です。
一方、色落ちしたW30では、太ももの縦落ちや細かなアタリが目立ちます。
股リベット付きW30も色落ちが進んでいますが、その濃淡やシワの入り方は既存W30とは異なります。
こうした違いには、着用する人の体型や動作、着用期間、洗濯頻度などが影響します。
さらに、もともとの生地やモデルが異なる可能性もあります。
今回は製造年や着用歴が完全に分かる3本ではないため、同一生地の経年変化を厳密に検証したわけではありません。
それでも、実物を並べて観察することで、それぞれのジーンズが持つ表情の違いを楽しむことができました。
旧ドゥニームのXXモデルと66モデルはどう見分ける?
旧ドゥニームを調べると、XXモデルや66モデルという名称をよく目にします。
XXモデルは1950年代のヴィンテージジーンズをイメージしたモデルとして知られています。
一方、66モデルは1960年代後半以降のジーンズを意識したモデルで、比較的すっきりしたシルエットが特徴として紹介されています。
しかし、今回の3本について、どちらのモデルに該当するかを正確に特定できたわけではありません。
特に注意したいのは、単一のディテールだけでモデルを決めないことです。
例えば、股リベットの有無やバックポケットのタブだけで、XXモデルと66モデルを完全に区別できるとは限りません。
当時のカタログ、品番が明記されたタグ、製造時期の資料などと照合することで、より正確なモデル判定に近づけるはずです。
今回の比較では、まず実物の違いを記録することを優先しました。
中古で旧ドゥニームを選ぶときのポイント
オリゾンティ期の旧ドゥニームを中古で探す場合は、モデル名だけでなく実際の状態を確認することが大切です。
まず確認したいのは、品質表示タグです。
「ORIZZONTI」や「MADE IN JAPAN」などの表記は、製造時期や販売元を調べる手がかりになります。
次に、ボタン、レザーパッチ、バックポケット、股リベットなどのディテールを確認します。
さらに、実寸サイズも重要です。
古いジーンズは、表記サイズよりも実寸が小さくなっていたり、裾上げされていたりする場合があります。
今回のように、同じようなモデルであっても股下が大きく異なる個体が存在します。
色落ちを重視するなら、太ももの縦落ち、ヒゲ、膝裏のアタリ、裾のパッカリングなどを確認するとよいでしょう。
濃紺から自分で育てたい方は色残りの多い個体、すでに完成した雰囲気を楽しみたい方は色落ちした個体を選ぶのも一つの方法です。
まとめ|旧ドゥニームは実物比較が面白い
今回は、オリゾンティ期の旧ドゥニーム3本を比較しました。
最も印象的だったのは、濃紺W29と色落ちW30の生地の表情の違いです。
同じブランドのジーンズでも、着用や洗濯によってこれほど異なる雰囲気になることが分かります。
また、股リベット付きW30と、股リベットのない2本を比較できたことも大きな発見でした。
バックポケットの黒Dnmタブ、レザーパッチ、ボタン、裾の縫製など、細かな部分にも違いが見られます。
今回の比較だけでは正確なモデル名や製造年を確定できませんが、こうした実物の情報を記録していくことには意味があると感じます。
旧ドゥニームは、単に古いジーンズというだけでなく、実際に手に取って細部を観察する楽しさがあるブランドです。
今後もさまざまなモデルや製造時期の個体を比較し、旧ドゥニームの魅力を記録していきたいと思います。


コメント